デイサービスセンター併用集合住宅「汐騒の詩」
伊勢湾を一望でき、セントレアまで見渡せるほどの眺めの良い山林は、住宅団地として開発が進んできた。この土地の建築主は、先祖代々から受け継いだ土地を手放す事を避け、自ら老人介護福祉事業を立ち上げる為、国庫補助を受けず施設を建設するというとても大胆な有効活用に踏み切った。通所施設なのですが、厳正な基準の元、介護保険法の適用を受けたサービスも多岐に渡り多様化しています。地域で選ばれる施設とする為に、料理人である施設社長の意気込みと、スタッフの切実な思いを受け止める事ができたのであろうか。・・・無事竣工できたのは、魅力的なこの敷地の持つ無限の可能性のおかげなのです。
設計監理に当っては、幾度となく変更を積み重ね建設コストを抑えました。デイサービス部分は、パブリック空間でありがちな冷たさを排除し、地元産の桧や杉を使い、優しさと温かみをもった色使いとし、対照的な集合住宅部分は、終の棲家であるが故の閉塞感を感じさせない、非日常的な空間で安らぎが得られるよう計画できたと感じています。
不意に訪れた長閑な昼下がり、サンデッキは居心地よさそうな色に褪せ、芝生は青々と生い茂り、新緑とは相対的な外観が一層人目を惹きつける様に、活き活きと浮かび上がっているようでした。
風の軽やかな日中、海を眺めているだけで、満ち足りたような気持ちになり、心が癒され無限の可能性を与えてくれるような気がします。対照的に街には物が溢れ、行きかう人と車、氾濫する情報、競い合うように建ち並ぶ美しいとは言い難い建物達?それはとても便利かもしれない・・・・・しかし、この街で本当に心の豊かさを実感する事ができるのだろうか?・・・・・
人生の黄昏に、眼下一面に広がるこの素晴らしい景色を手に入れる事ができるのは「汐騒の詩」という場所を訪れた人達だけなのです。







